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2019年8月29日 森本紀行はこう見る
事業承継が問題になること自体が問題だ

HC
asset
management

す。そして、その経営責任の延長線上で、自分の事業のうち承継可能なもののみが承継されていく事態を受け入れるほかなくなるのです。

高齢になるまで経営したがるのは、事業の私物化かもしれませんね。

企業は公器であるといわれますが、公器に盛られた事業は社会的なものであって、創業とは、社会に対して価値のある事業を送り出すことであり、事業の成功とは、その価値を社会が認めることです。ならば、事業の価値を社会が認めたところで、事業承継を考えることも経営者にとっての重要な選択肢です。なぜなら、創業によって社会的価値を創造する人と、その価値を別の価値と融合させて成長させる人とは、異なる可能性が大きいからです。

このようにして早期に事業承継を考える創業者は、他への事業譲渡によって得た資金を用いて、新たな創業を行ったり、他の創業者へ出資したり、事業活動から離れて全く新しいことに挑戦したり、趣味等の事業以外の自己実現に没頭したりしていきます。日本でも、新しい創業と事業承継のあり方、創業者の新しい生き方が始まっています。今でこそ高齢化した古き創業者たちの事業承継が問題になっていますが、同じ問題が繰り返されることはないでしょう。

人生と事業経営が合体しているような経営者は、もう通用しないのでしょうか。

零細な個人事業主の場合、家計と事業とは峻別されずに不透明に融合してしまうことが多いでしょう。しかし、それでは正しい事業経営などできるはずもなく、そのような事業に承継されるべき価値がないのは自明です。ましてや、中小企業の場合、創業家が所有する同族企業だとしても、一族の財産管理と企業経営とは完全に峻別されていなければなりません。

財産管理と事業経営を完全分離したとき、財産としての事業価値が見えてきて、経営者は二つの人格に分裂するでしょう。一つは事業の経営者であり、もう一つは事業を財産として所有する投資家です。このとき、投資家としての自分が経営者としての別の自分を叱咤して事業価値の向上に努めさせることは、極めて難しいことですから、現実的には、二つの道しかないでしょう。

第一は、先ほど述べた新しい創業者の道で、経営者として創業した後、早期に投資家に転身することであり、第二は、これまで問題にしてきた古い創業者の道で、財産管理と事業経営が分離されていないなかで、人生と経営が合体したまま高齢を迎えることですが、これでは、社会から評価される真の事業価値の創造はできないわけで、故に、現実問題として、事業承継が困難になっているのでしょう。

真の経営者は、顧客や仕入れ先や従業員などで構成する社会から、価値のある事業の経営を信託されたものとして、社会に対して責任を負うものであって、事業は自分の外に客観的に存在するものだと理解しなければならないわけですから、自分の人生と事業経営が合体することはあり得ないのです。

財産管理の視点から、事業承継を考えることが必要だということでしょうか。

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