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小学校教員養成課程における音楽実技能力向上の試み(吉田・佐藤)

達成感を感じることができた。

  • みんなで1つのものを作る楽しさや充実感をあじわうことができました。
  • 音楽があるだけで言葉では伝わらない雰囲気や情景を想像しやすくしていることを感じた。明るい曲調、暗い曲調などその曲の特徴をつかみながら、お話しの中に取り入れていく難しさと楽しさを感じることができた。

1人の学生の記載からは、お話とピアノ曲の曲調が結びつくことにより生まれるイメージを楽しんでいることがわかる。音楽とお話の双方のイメージを豊かに広げるうえで、お話付き音楽発表会が効果的であったことがわかる。

さらに全員で1つの舞台を作り上げる過程でピアノ練習の意欲が高まったこと、目標ができたことによってピアノの練習が続けられたこと、楽しさや充実感と、全員で達成感を味わうことができたことなどが挙げられた。

最後にこの授業でできるようになったと感じることについて問う質問には、「技術はまだまだだが、自分にもピアノが弾けるという自信がついたのは大きかった」「自分に自信が持て、新たな可能性を感じることができた」という記載が有った。

これらの学生の声から、お話付き音楽発表会の取り組みにより学生が得られた学びについて下記のようにまとめることができる。

  1. お話に基づいてみんなで1つの作品を作り上げる「楽しさ」は、実技に苦手意識を持つ学生が意欲を持って学習するための動機づけとして、非常に大きな力になっていた。
  2. 弾けるようになった1曲1曲がストーリーでつながれ、みんなで1つのものを作り上げるうえでの「責任感」がピアノ練習を継続させる力となった。
  3. 曲が弾けるようになることはそれだけでも楽しく意欲を育むが、同じように努力している仲間とその練習成果を身近に感じ合うことで、一層「向上心」を芽生えさせることができた。
  4. 音楽とお話が結びつくことによって、互いにより一層「イメージを豊かに広げて感じる」ことができて、楽しさが増した。
  5. 同じように努力している仲間の演奏に関心を持って聴くことを通じて、「聴く能力」が育っていた。
  6. 自分の「可能性」を信じることができ、成長を自ら自覚できる時に生じる本来の学びの楽しさを感じることができた。
  7. 舞台ができ上げる喜びと楽しさに対する期待は学習の動機になり、素晴らしい発表会ができた「達成感」は音楽やピアノを愛好する気持ちを育てた。

以上、お話付き音楽発表会の取り組みから、学生が学習に対して最初抱いていた苦手意識・不安感から積極的に表現意欲を持つようになっていった学びの過程を表す7つのキーワードを導出することができた。すなわち、「楽しさ」、「責任感」、「向上心」、「イメージ」、「聴く力」、「可能性」、「達成感」である。これらの学びの過程を経て、本取り組みで学生の音楽的、人間的両面での成長を確認することができた。

V まとめ一課題と展望一

本稿では、「音楽Ⅱ」で取り組んできたお話付き音楽発表会を通して、学生にどのような学びと成長が見られたのかについて、学生の声をもとに振り返り、分析と考察を行った。楽しさを感じながら演奏出来た上に、受講生同士の繋がりも深まり、責任を感じるとともに意欲も向上するなど、お話に基づいた音楽発表会の取り組みは、教員養成課程の学生の実技能力を高める工夫として有意義であったと考えられる。

今後の課題としては、発表会の周知方法や集客の工夫が挙げられる。学内ホールで授業時間内の音楽発表会であり、時間帯も含め、より集客しやすい方法を模索したい。「音楽Ⅱ」は小学校教員養成課程における教科専門科目であることをふまえ、地域の子ども達との連携や、小学校国語教材から題材を採り上げて教科間の連携を深めること等を視野に入れ、さらに工夫を深めた取り組みにしていきたい。

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